伝言板
No.12 人文虫学(私的分類学) ~人と虫との関わり学 (9) ~
人文虫学について
人文虫学とは、虫と人間の関係にかかわる学問の総称を言います。
もっとも、筆者が創作した学問分類ですから、公には通用しません。
もともと、人間と虫との関係は、それほど密接なものではなく、ファーブルなどのように終生昆虫に没頭できる人は、やはり相当な変人と言うべきでしょう。それ程の虫への興味を万人に望む気持はありません。しかし、それにしても、筆者が子供だった昭和30年頃と比べて、確かに社会も自らの感性も、明らかに自然に対する繊細さから遠ざかっている事を実感します。
この原因は現実追求に偏った文明(物)社会と無縁ではないようです。そして今後もグローバルな市場経済の法則に従うとすれば、日本人は得意な工業分野を専門に受け持ち、国際収支が黒字の間は、食糧や場合によっては感性までも他国に依存することも出来るでしょう。
しかし往々にして、生きるために大切なものを他人に依存出来るという文明社会の便利さは、一方で「感性の退化」をもたらします。そして、この方向性は正に、個(国家)として生きるための「自立性が失われてゆく過程」でもあります。
物はなかったけれども、自然や人や生き物を相手に遊ぶことには不自由しなかった。あの子供の頃のような、しなやかで普遍的な感性を失わない日本であり続けることを信じて、筆を止めます。