伝言板
No.5 ~9月から10月は、スズメバチの季節~
スズメバチの季節
9月から10月にかけては、スズメバチの活動が一番盛んになる季節です。
では、なぜでしょう? それは、ハチの仕事にとって仕上げの時期であり、個体数が最も多くなる時期だからです。
では、彼らの仕事の目的は何でしょう?それは、女王になる卵を出来るだけ多く飼育して、冬までに女王の成虫を羽化させ、巣から送り出すことです。それが済んでやっと彼らは永遠のお休みに就くのです。ですから、秋は彼らのラストスパートの時期ともいえます。
スズメバチの一生
冬を前にして、巣から送り出された女王バチからお話を始めます。彼女達は誰の力も借りず、単独で冬が越せる場所を探さなくてはなりません。例えば枯れ木の洞(うろ)の中とか、樹皮の隙間とか、住宅の屋根裏などで春を待たねばなりません。凍死せずに翌年の春まで生き延びた者を、越冬女王といいます。春を迎えた越冬女王は、念入りに巣づくりにふさわしい場所を探します。そして産卵を開始します。最初は女王自らが餌を採取し卵を育て、そのうち子供の数が多くなると、以後全ての労働を自分の子供に委ね、彼女自身は産卵に専念します。
女王が生む卵は、女王バチと兵バチと働きバチに分かれ10月下旬まで増えつづけます。大きな巣では働きバチが2,000匹を越えるものもあり、巣の直径は1mを超えるものもあります。
そして、冬を前に育てた次世代の女王を巣立ちさせて、全ての仕事と生命を終わらせます。はかない一生のようですが、煎じ詰めれば虫と同じに塵となる人間の一生も同じなのかもしれません。ラフカディオ・ハーンは「昆虫の詩」の中で、一秒間に数百回も羽ばたける虫の感覚では、一日が数ヶ月に感じるのかも知れない、と述べています。